佐藤優『佐藤優選 自分を動かす名言』(青春出版社)2016/04/21
参考文献
この年の3月、私は新潮社から『国家の罠──外務省のラスプーチンと呼ばれて』を上梓し、出版界にデビューした。率直に言うが、私は職業作家になれるとは小指の先ほども思っていなかった。
私小説とは、作者が直接に経験した事柄を素材にして書かれた小説のことだ。ここで引用した田山花袋は私小説の生みの親の一人である。花袋とみられる学校教師と女生徒との関係を描いた『蒲団』(1907年発表)が代表作だが、現代でいうと教師の女生徒に対するストーカー行為のようなものだ。
その点で、最近出た私小説で私が最も感銘を受けた作品に、2015年の川端康成文学賞を受賞した大城立裕氏の『レールの向こう』(新潮社)がある。
私が尊敬する歴史学者の山内昌之先生(東京大学名誉教授)が、学者と作家の差異をイギリスの歴史学者ジョン・H・アーノルドの著作『歴史』(岩波書店)を評しつつこう述べている。
歴史 ― HISTORY (〈1冊でわかる〉シリーズ ― Very Short Introductions日本版)
- 作者: ジョン・H・アーノルド,新広記
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/06/06
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最近受けて困った質問は、「フランスの経済学者トマ・ピケティが書いた『21世紀の資本』(みすず書房)を買ったが、難しくて読み進めることができない」というものだ。
原作(『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』坪田信貴、KADOKAWA・2013年)を読むと、現下の日本社会で主流になりつつある新自由主義という考え方がどういうものかがわかる。
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)
- 作者: 坪田信貴
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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世の中には恐ろしい心も存在する。1997年に神戸連続児童殺傷事件を起こした元少年Aの手記『絶歌』(太田出版)が2015年6月に販売され、大きな議論を引き起こした。
2015年4月から7月にかけて、京都市の同志社大学で2講時連続講義をした。私にほかの用事がないときは、講義後も学生たちとレストランで午後11時ごろまで話をしたので、かなり密度の高い集中講義だった。同志社の創設者である新島襄について、岩波文庫から出ている同志社編の『新島襄自伝』『新島襄の手紙』『新島襄教育宗教論集』の3部作を手掛かりに、同志社のキリスト教主義の特徴をつかむことに講義の主眼を置いた。
通常とは異なる趣味のセックスで、外務省を退職することを余儀なくされた人もいる。私が自費出版した『日本国外務省検閲済 外務省犯罪黒書』では、鈴木宗男衆議院議員(当時)が提出した質問主意書と、それに対する内閣の答弁書からこんな事例を紹介した。
(以上)