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佐藤優書店

佐藤優の全書籍を紹介します

山内昌之, 佐藤優『新・地政学  「第三次世界大戦」を読み解く 』(中央公論新社)2016/03/10

2016年 地政学 新聞・雑誌・Web連載 対談・共著

 引用・参考文献

 東西冷戦は、イデオロギーが過剰な時代だった。資本主義対共産主義というイデオロギー的な対立軸で国際関係が動いた。もちろん、そこには歴史的、民族的、文化的役割も加味された。地理が重要な要素として組み込まれることはなかった。
 しかし、それは間違いだった。米国の民間インテリジェンス機関「ストラテジック・フォーカスティングストラトフォー)」のメンバーで、優れた分析能力を持つロバート・D・カプランは、地理の重要性についてこう述べる。

地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図

地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図

 
地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図

地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図

 

 

 「二〇二二年のフランスでイスラーム政権ができる」というミシェル・ウエルベックの小説『服従』が、欧州でベストセラーになりました。イスラームフォビア(イスラーム恐怖症)を煽るような内容なのですが、そういう情動とシリア難民への「人道主義」的な感情とが併存しているのが、今の欧州ではないでしょうか。(佐藤)

服従
 
服従

服従

 

 

  フランスでも、人種イデオロギーの父として知られるアルチュール・ド・ゴビノーがテヘラン公使として赴任しています。彼は『アメリカの民主政治』を著した政治思想家アレクシ・ド・トクヴィルの友人で、コーランやイラン、アラブなどについての書簡を交わしたりしている。ヨーロッパ人もイランの文学などを翻訳して早くから読んでいますね。(山内)

アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)

 

 

  チャーチルは自らが著した『第二次世界大戦回顧録』で、ノーベル文学賞を受賞しているほどです。

第二次世界大戦〈1〉 (河出文庫)

第二次世界大戦〈1〉 (河出文庫)

 

 

 マサリクは、もともとプラハ大学の哲学教授で、名著『ロシア思想史』を書いた著名なロシア研究家でした。まさに人文的な教養がリーダーとしての洞察力、判断力に結びついた人物と言えるでしょう。あの本は新訳も成文社から出たし、多くの人々に読んでほしい。

ロシアとヨーロッパ―ロシアにおける精神潮流の研究 (1)

ロシアとヨーロッパ―ロシアにおける精神潮流の研究 (1)

 

 

 ただ私は、リーダーには専門家や学者のように詳細な知識は必要ないと思うのです。大づかみに勘所を把握する能力があればいい。(佐藤)

 それは正しい。その好例が「鉄血宰相」の異名をとったドイツ統一の立役者、オットー・フォン・ビスマルクです。彼の資質が端的に示されたのが、クラウゼヴィッツの『戦争論』に対する評価です。(山内)

戦争論〈上〉 (岩波文庫)

戦争論〈上〉 (岩波文庫)

 

 

 ロレンスは著書『知恵の七柱』に、「十のうち九つは学校や訓練で教えられるけれども、戦場ではその残り一つが必ずでてくる。それは机の上では教えられない」と書いています。学校や訓練で教えられない知見を現場での閃きにも支えられて、実行する。これもリーダーの重要な資質でしょう。(山内)

知恵の七柱 (1) (東洋文庫 (152))

知恵の七柱 (1) (東洋文庫 (152))

 

 

 本書は、『第3次世界大戦の罠』(徳間書店)に続く佐藤優氏との対談の第二作である。

 

私による最新の中東分析は、二〇一六年二月に出版した『中東複合危機から第三次世界大戦へ』(PHP新書)としてまとめられている。本書と合わせて御一読くだされば幸いである。

 

 私はかつてこの二つの流れを、それぞれ平和的体制変革と暴力的体制変革と名づけたことがある。民衆運動から「市民革命」に発展する事例と、内乱や内戦に発展して暴力性を強く帯びる事例に分けてアラブの春の未来を予知しようとしたのだ(山内昌之『中東新秩序の形成──「アラブの春」を超えて』NHKブックス)。

中東 新秩序の形成―「アラブの春」を超えて (NHKブックス)

中東 新秩序の形成―「アラブの春」を超えて (NHKブックス)

 

 (以上)

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