山内昌之, 佐藤優『新・地政学 「第三次世界大戦」を読み解く 』(中央公論新社)2016/03/10
- 第1章~第6章は『中央公論』(2015年8月号、10~12月号、2016年1月号)、第7章は『文藝春秋』(2012年8月号)に掲載された対談を加筆修正し収録。
- 山内昌之との対談集は他に、『第3次世界大戦の罠―新たな国際秩序と地政学を読み解く』(徳間書店、2015年)がある。
新・地政学 「第三次世界大戦」を読み解く (中公新書ラクレ)
- 作者: 山内昌之,佐藤優
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/05/13
- メディア: Kindle版
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新・地政学 - 「第三次世界大戦」を読み解く (中公新書ラクレ)
- 作者: 山内昌之,佐藤優
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/03/09
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引用・参考文献
東西冷戦は、イデオロギーが過剰な時代だった。資本主義対共産主義というイデオロギー的な対立軸で国際関係が動いた。もちろん、そこには歴史的、民族的、文化的役割も加味された。地理が重要な要素として組み込まれることはなかった。
しかし、それは間違いだった。米国の民間インテリジェンス機関「ストラテジック・フォーカスティング(ストラトフォー)」のメンバーで、優れた分析能力を持つロバート・D・カプランは、地理の重要性についてこう述べる。
「二〇二二年のフランスでイスラーム政権ができる」というミシェル・ウエルベックの小説『服従』が、欧州でベストセラーになりました。イスラームフォビア(イスラーム恐怖症)を煽るような内容なのですが、そういう情動とシリア難民への「人道主義」的な感情とが併存しているのが、今の欧州ではないでしょうか。(佐藤)
フランスでも、人種イデオロギーの父として知られるアルチュール・ド・ゴビノーがテヘランに公使として赴任しています。彼は『アメリカの民主政治』を著した政治思想家アレクシ・ド・トクヴィルの友人で、コーランやイラン、アラブなどについての書簡を交わしたりしている。ヨーロッパ人もイランの文学などを翻訳して早くから読んでいますね。(山内)
- 作者: ウィンストン・S.チャーチル,Winston S. Churchill,佐藤亮一
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2001/07
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マサリクは、もともとプラハ大学の哲学教授で、名著『ロシア思想史』を書いた著名なロシア研究家でした。まさに人文的な教養がリーダーとしての洞察力、判断力に結びついた人物と言えるでしょう。あの本は新訳も成文社から出たし、多くの人々に読んでほしい。
ただ私は、リーダーには専門家や学者のように詳細な知識は必要ないと思うのです。大づかみに勘所を把握する能力があればいい。(佐藤)
それは正しい。その好例が「鉄血宰相」の異名をとったドイツ統一の立役者、オットー・フォン・ビスマルクです。彼の資質が端的に示されたのが、クラウゼヴィッツの『戦争論』に対する評価です。(山内)
- 作者: クラウゼヴィッツ,Karl Von Clausewitz,篠田英雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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ロレンスは著書『知恵の七柱』に、「十のうち九つは学校や訓練で教えられるけれども、戦場ではその残り一つが必ずでてくる。それは机の上では教えられない」と書いています。学校や訓練で教えられない知見を現場での閃きにも支えられて、実行する。これもリーダーの重要な資質でしょう。(山内)
私による最新の中東分析は、二〇一六年二月に出版した『中東複合危機から第三次世界大戦へ』(PHP新書)としてまとめられている。本書と合わせて御一読くだされば幸いである。
中東複合危機から第三次世界大戦へ イスラームの悲劇 PHP新書
- 作者: 山内昌之
- 出版社/メーカー: PHP研究所
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私はかつてこの二つの流れを、それぞれ平和的体制変革と暴力的体制変革と名づけたことがある。民衆運動から「市民革命」に発展する事例と、内乱や内戦に発展して暴力性を強く帯びる事例に分けてアラブの春の未来を予知しようとしたのだ(山内昌之『中東新秩序の形成──「アラブの春」を超えて』NHKブックス)。
中東 新秩序の形成―「アラブの春」を超えて (NHKブックス)
- 作者: 山内昌之
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/02/24
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