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半藤一利, 佐藤優『21世紀の戦争論 昭和史から考える』(文藝春秋)2016/05/20

  • 週刊文春 』(2015年5月7日・14日合併号)「今こそ読むべき14冊!」 )、 『文藝春秋SPECIAL』(2016年冬号)「失敗の昭和 史」、『文藝春秋』(2016年3月号)「『新しい戦争』と日本軍の教訓」を収録。

引用・参考文献

 私は森村誠一さんの『悪魔の飽食』(初版一九八一年、光文社。現在は『新版 悪魔の飽食』角川文庫)が話題になった一九八〇年代、学生のときに関連の資料を大学図書館で探すうち、この『ハバロフスク公判書類』に出会いました。読んでみて、森村さんはこれを資料に使っているなと思いました。(佐藤)

 

極東国際軍事裁判東京裁判)で七三一関係者を戦犯に指名しない代わりに、彼らから情報を引き出したことは、アメリカ側の記録が開示されて明らかになっています。この点に関連しての詳しい経緯は、青木冨貴子さんの『731』(初版二〇〇五年、新潮社。現在は新潮文庫)に書かれていますね。

731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く (新潮文庫)

731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く (新潮文庫)

 
731

731

 

 

石井部隊でやったのと同じことを帝銀でやってみた、犯人は石井部隊の隊員であった。さっきも言いましたが、これが松本清張さんの推理です。『小説帝銀事件』(角川文庫)を小説じゃ誰も信じないからと、ノンフィクションで書き改めた『日本の黒い霧』(文春文庫)には、

 帝銀事件に使用された毒物は、検事側が云うような単純な青酸カリではなかった。それは旧陸軍関係が製造した毒物と思われる可能性が強い。そして、それは旧日本軍の研究していた秘密兵器であり、その業績は、当時のGHQが、九研〈編集部注:陸軍の秘密兵器を開発研究する第九陸軍技術研究所、通称・登戸研究所〉関係者、七三一部隊帰還者の留用によって秘密の裡に研究されていたことに、われわれの考えは突き当る。

と書いています。

小説帝銀事件 新装版 (角川文庫)

小説帝銀事件 新装版 (角川文庫)

 

  

日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫)

日本の黒い霧〈上〉 (文春文庫)

 
日本の黒い霧〈下〉 (文春文庫)

日本の黒い霧〈下〉 (文春文庫)

 

  

昭和の戦争を考えるとき、あるいは第二次世界大戦全体を振り返っても、ノモンハン事件というのは、実は決定的な事件だったと思います。ソ連崩壊後、ソ連時代の外交文書や共産党の文書が公開され、これまでベールに包まれていた「歴史」が徐々に明らかになってきました。そのひとつが、ノモンハン事件です。(佐藤)

 私が『ノモンハンの夏』(文春文庫)を書いていたのは一九九七年頃ですから、もう少し待って取り組めば、もっとソ連側の事情を盛り込むことができたのにと、実は少し悔しい思いをしているんです。(半藤)

ノモンハンの夏 (文春文庫)

ノモンハンの夏 (文春文庫)

 
ノモンハンの夏 (文春文庫)

ノモンハンの夏 (文春文庫)

 

 

私が辻政信に会ったのは戦後、彼が衆議院議員だったときです。終戦をタイのバンコクで迎えた辻は、戦犯指定から逃れるため、僧侶になりすまして中国やベトナムに潜伏します。昭和二十五年(一九五〇年)になって、戦犯にならずに済むことがわかると、逃亡時代を振り返って『潜行三千里』という本を出した。これが、爆発的に売れたんですね。(半藤)

潜行三千里 新書版

潜行三千里 新書版

 

 

皮肉なことに、服部・辻のノモンハンのコンビが日本を太平洋戦争へと駆り立てたという話に呼応するかのように、最近、ノモンハンでの戦闘が第二次世界大戦の始まりだったとする説に出会いました。さきほど触れたソ連崩壊後に出た新資料を踏まえて書かれたスチュアート・D・ゴールドマンの『ノモンハン1939』(みすず書房)です。(佐藤)

ノモンハン 1939――第二次世界大戦の知られざる始点

ノモンハン 1939――第二次世界大戦の知られざる始点

 

 (以下編集中)

 

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