佐藤優『資本論』の核心 純粋な資本主義を考える』(角川書店)2016/09/10
参考文献
本書は、読者とともに深く考えることを意図して書かれた本だ。題材として扱っているのは、宇野弘蔵編『経済学』(上下二冊、角川全書、一九五六年)だ。
マルクスが『資本論』で展開した科学(体系知)の方法に、『資本論』の記述が矛盾している場合(例えば、資本主義の発展とともに労働者階級が窮乏するという窮乏化法則)、その記述を改め、純粋な資本主義の運動を記述した「原理論」に再編する必要があると考えた。そして自ら『経済原論』を二度上梓し(旧版上巻一九五〇年、下巻一九五二年、新版一九六四年、いずれも岩波書店)、「原理論」の分野で多くの業績を残した。
宇野経済学に関して、私の関心は二つある。第一は、宇野原理論によって、資本主義社会の内在的論理をとらえることだ。この作業を私は『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『資本主義の極意』(NHK出版新書)、『いま生きる階級論』(新潮社)などの著作によって行った。
資本主義の極意―明治維新から世界恐慌へ (NHK出版新書 479)
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一九世紀に純粋な資本主義がどのような地獄絵を描いているかということを、マルクスやエンゲルスなどの社会主義者よりも、早い時期に、多くの人々にわかりやすく明らかにしたのが、例えば、チャールズ・ディケンズである。ディケンズの代表作で、一八三七~三九年にかけて雑誌に連載された『オリヴァ・ツウィスト』の冒頭部分を見てみよう。
帝国主義―資本主義の最高の段階としての (岩波文庫 白 134-1)
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